タイ文字の基本

タイ語は独自の文字「タイ文字(อักษรไทย)」で書きます。構成要素は次の4つです。

  • 子音字:全部で44字。うち2字(ฃ・ฅ)は現代では使われず、実際に使うのは42字です。
  • 母音記号:32種。子音の前・後・上・下など、さまざまな位置に書きます。
  • 声調記号:4種(่ ้ ๊ ๋)。
  • タイ数字:๐๑๒๓๔๕๖๗๘๙。アラビア数字と併用されます。

文字どおりに「読めるようになる」ことが目標です。全部の字を一度に覚える必要はありません。

子音:44字と3つのクラス

タイ文字の子音は、それぞれが「字そのものの名前」と「例となるものの名前」を持ちます。たとえば ก は「ゴーガイ(ก ไก่=ニワトリのก)」と呼ばれます。

子音字は「中級・高級・低級」の3クラスに分かれ、これが声調を決める要素のひとつになります(詳しくは声調の記事へ)。まずはよく使うものから覚えれば十分です。

クラスよく使う字の例役割
中級ก จ ด ต บ ป อ中音を基本とする
高級ข ถ ผ ส ห上昇音を基本とする
低級ค ง น ม ย ร ล ว中音を基本とする(声調記号で変化)

クラスは「発音される子音」ではなく「字の分類」です。まずは読めればOKで、クラスと声調の関係は声調の記事で扱います。

อ は特殊で、母音だけの音節の頭に置く「器」の役割も持ちます(例:อา アー)。また ห は前に置くと無声で後続の子音の声調を変えることがあります(「ห นำ」と呼ばれる用法。例:หมา マー[上昇]=犬)。

母音:32種と「置く場所」

タイ語の母音は、子音字のまわりに書く記号で表します。置く場所は母音によって決まっていて、前・後・上・下・両側に囲む形があります。

位置母音記号例(読み)
子音の後◌า(アー)กา ガー
子音の前เ◌(エー)เก ゲー
子音の上◌ิ(イ)กิ ギ
子音の下◌ุ(ウ)กุ グ
子音を囲むเ◌าะ(オ)เกาะ ゴ
子音の前(その2)ไ◌(アイ)ไป パイ

母音は「短母音・長母音」の対を持つものが多く、長短で意味が変わります。

短・長の違いの例:เก(ゲー=長い)と เกะ(ゲ=短い)。日本語にはない「末子音」の区別とあわせて、次の音節の仕組みを見ていきましょう。

音節の考え方

タイ語の1音節は「初子音+母音+(末子音)」です。末子音を持つかどうかと、母音が長いか短いかで、その音節の取り得る声調が変わります。

  • 活音節(คำเป็น):末子音がないか、末子音が -น -ม -ง -ย -ว 系のもの。自由に5声調を取れます。
  • 死音節(คำตาย):末子音が -ก -ด -บ 系(発音は -k -t -p に近い、破裂しない止め音)。声調が制限されます。

たとえば กิน(キン=食べる)は活音節、กัด(カット=かむ)は死音節です。末子音の ด は末尾では t の音になり、しっかり破裂させません。

声調記号と「ห นำ」

声調記号は4種あり、子音クラスと組み合わせて声調が決まります。

記号名前読みの例
◌่マイエーク(ไม้เอก)ก่า
◌้マイトー(ไม้โท)ก้า
◌๊マイトリー(ไม้ตรี)ก๊า
◌๋マイチャッタワー(ไม้จัตวา)ก๋า

マイトリー・チャッタワーは主に中級子音の外来語表記などで使われます。

また ห を音節の頭に無声で置くと、後続の低級子音を高級子音のルールで読めます(ห นำ)。หมา(マー[上昇]=犬)はこの代表例です。声調の決まり方の詳細は声調ガイドで説明します。

初心者が最初に覚える範囲

42字すべてを一度に覚える必要はありません。まずは日常語彙で頻出の子音と、基本的な母音から始めます。

  • 子音:ก ข ค ง จ ช ท น บ ป พ ม ร ล ว ส อ(頻出の17字程度から)
  • 母音:◌า ◌ิ ◌ี ◌ุ ◌ู เ◌ แ◌ โ◌ ใ◌ ไ◌ ◌ะ ◌ั ◌็ など基本形
  • 声調記号:まず ่ と ้ の2つだけ

文字を覚えると、看板・メニュー・表記が「読める」ようになり、学習全体の効率が上がります。

実例で読んでみる

「ありがとう」の ขอบคุณ を分解してみます。

部分構成読みの目安
ขอบข(kh)+◌อ(短いɔの母音表記)+บ(末子音b)コップ(bは破裂しない止め音)
คุณค(kh)+◌ุ(ウ)+น(末子音n)クン

合わせて コップン(khop khun)。末子音は破裂させません。

もう1つ、น้ำ(ナム=水)を見ると、น の上に ◌้(声調記号)と ◌ำ(母音アム)が重なっています。この「上下に書く」感覚がタイ文字の特徴です。

まとめ

タイ文字は「子音44・母音32・声調記号4」を音節に組み合わせる文字です。最初は全部を覚えず、頻出の字から少しずつで構いません。次は声調の決まり方を押さえると、読める字の意味が分かるようになります。