書かれた a が消える(母音脱落)

子音字の内蔵 a(schwa・ə)は、実際の発音では語末や語の内部でよく消えます。नमस्ते は文字どおりなら na-ma-s-te ですが(स्त は s+t の結合文字なので s と t の間には入りません)、実際は「ナマステ」、भारत は bha-ra-ta → 「バーラト」と、a が弱くなるか消えます。だからカタカナ表記と綴りがずれて見えるのです。

नमस्ते

発音の目安 namaste

こんにちは

最後の te の e は残るが、内部の a は弱い

भारत

発音の目安 bhārat

インド(国名)

最後の a は消える。バーラト

लड़का

発音の目安 laṛkā

男の子

内部の a は弱い。実際の発音は音声で確認

हिन्दी

発音の目安 hindī

ヒンディー語

ヒンディー。最後の ī はマートラーで残る

鼻音化(ं と ँ)

母音の上に付く小さい点 अनुस्वार(ं)は、前の母音を鼻に抜ける音にします(実際の音は周囲の子音で n・m・ŋ 等に変わります)。上に三日月が付く चन्द्रबिन्दु(ँ)は母音そのものを鼻音化する記号で、完全に同じ働きではありませんが、学習の入口では「鼻に抜ける音が付く」と押さえれば十分です。

このサイトの転写では、実際に母音の鼻音化として発音される場合は अनुस्वार・चन्द्रबिन्दु のどちらも母音上のチルダ(ã・ī̃ 等)で表すため、ローマ字だけでは元の記号を区別できないことがあります。一方、हिन्दी のように अनुस्वार が子音に同化する鼻音(n・m・ṅ・ñ・ṇ)として実現する語では、実際の発音に合わせて n 等で転写します——文字記号を機械的に1:1変換するわけではありません。

हूँ

発音の目安 hū̃

〜です(मैं の助動詞)

鼻に抜ける ū

हैं

発音の目安 haĩ

〜です(複数・敬称)

鼻音化

नहीं

発音の目安 nahī̃

いいえ・〜ない

鼻に抜ける ī

में

発音の目安 mẽ

〜で・〜に(後置詞)

鼻音化

結合文字(連続子音)の入口

子音が連続すると、字形が合体します(結合文字・サンユクタークシャル)。स्त=s+t(नमस्ते の中)、क्त=k+t、ज्ञ=j+ñ(gy に近い)など。全部を暗記する必要はなく、「子音がくっつくと形が変わることがある」と知っていれば、読むときに崩して読めます。

特に出番が多いのは r を含む結合と、右下に小さい点が付く ヌクター付き文字です。ड़(ṛ・そり舌のはじき音。लड़का)、क़(q・アラビア語・ペルシア語由来の語に)のように、借用語にも使われます。

確認クイズ

Q1. भारत はどう読みますか?

bhārat(バーラト)。最後の内蔵 a は実際の発音では消えます。

Q2. हूँ の上の点は何ですか?

鼻音化の記号です。母音を鼻に抜ける音にします(hū̃)。

Q3. 母音脱落は必ず起きますか?

いいえ。傾向として語末・内部で弱くなりますが、一律ルールではありません。個別の語は音声で確認します。

Q4. स्त はどんな形ですか?

s+t が合体した結合文字です。नमस्ते の中で使われます。

Q5. ड़ と ड の違いは?

下の点(ヌクター)です。ड़ はそり舌のはじき音 ṛ、ड はそり舌の破裂音 ḍ です。

まとめ

  • 子音の内蔵 a(schwa)は語末や内部でよく消える。綴りと実音はずれることが多い。
  • 「全部消える」ルールではない。形態素境界・人名・借用語など予測できない場合もある。個別の語は音声で確認する。
  • ं と ँ は鼻に抜ける音を付ける記号。実音は周囲で変わる。
  • 結合文字は子音が合体した形。r を含む結合とヌクター付き文字が特に出番が多い。
  • 次は 基本文法 で、文の骨格を押さえます。